2014年6月2日月曜日

ゴールデンウィーク・佐久総合病院



しばらく時間が空いてしまったが、先日のゴールデンウィーク、長野県の佐久総合病院にお邪魔してきた。


事の経緯はこうである。


インド帰国後、M-Labo代表の内原君の紹介で、慶応医学科6年の鎌田君という男と酒を飲んだ。彼もまたアフリカに魅せられた人間で、よりによってというか流石というか、コンゴ民主共和国に学校を建てる学内プロジェクトに参加した経験を持っていた。フィールドワークや手洗い推奨などの公衆衛生的草の根活動にかれこれ3年携わっており、卒後はアフリカで医者をやりたいと語っていた。実に素敵な阿呆である。

いわゆる国際”医療”協力を志し、在学中から有名諸団体に所属し、高額なインターンに進んで参加し、組織の運営にまで手を出しているような医大生は全国に星の数ほどいる。だが、最終的にそこに身を没する人間は存外に少ないらしい。医局なり、人生のタイミングなり、キャリアパス的な問題であったり、当初の青い憧れとは異なる生き方を選択することは、想像に難くない。そんな中、鎌田君のような「あ、コイツかなり決め打ちしてるな、負けたくないな」と思わされる人間との出会いは、大きな収穫だった。何より話していて思ったのは、彼は「分かってる」奴だった。

と、そんな飲み会の中で、佐久総合病院の話を聞いた。

地域医療の草分け的存在の有名病院で、秋田大学の誇る芥川賞受賞医師・南木佳士が勤めていたということもあり、その名前は耳にしたことがあった。が、その晩彼から聞いたのは、「佐久では国際医療にも力を入れ始めており、オモシロい奴が集まる」という情報だった。春休みに彼が佐久で実習した時、集まった生徒10人程のうち8割近くがアフリカ渡航経験があったと言う。




翌日は、ケニアでお世話になり、医師の志を新たするという貴重な経験をさせて下さった師匠・杉下先生とアフリカぶりにお会いした。師匠に「佐久に興味がある」という話をすると、「知ってるドクターが佐久で国際医療の現職復帰制度を作っている」と言って座光寺先生という方のアドレスを教えてくれた。

2013年夏休みに島根県の津和野でインターンをした頃から、「何を以って何を為すか」×「何処で事を成すか」×「誰と事を成すか」という「手段・目的」×「場所」×「人」が、「働く」ということに関して自分の中でのキーワードだった。

手段・目的の方向性はもう自分の中で見つけた。そしてどうやら佐久は「人」に関しては相当オモシロそうである。残るは「場所」だが、これは臨床医学の知識がなくとも感じることができるだろう。そう信じ、実習を申し込むには学年的にやや若いが、教えて頂いたアドレスに厚かましくメールを送った。



幸運にも、寛容な事に、募集期間外かつ募集対象外にも関わらず、2日間の実習を組んで頂けた。

実習自体の内容に関しては、自分の中に比較対象のモノサシがなく、また医学の知識も足りず、正直に言ってしまえばよく分からなかった。だが、かの医学界のメッカにて地域医療に加えて国際医療とその制度作りに心血を注ぐ座光寺先生や、孤立した農村で人に寄り添い医を為す川上村の由井先生の背中を見ながら感じることは多く、たった2日ではあったが、「医は仁術」だなあと暖かな気持ちになった。



また、国際医療協力団体GLOWの代表、加藤先生にもお話を伺うことができた。
まだ動き出したばかりのプロジェクトで、成功も失敗もこれからだと言うが、現実に即したその制度には一考の余地が多いにあるように思った。

会話の中で、いくつか厳しい(というよりも僕が甘すぎた)ツッコミも頂いた。

休学2回という経歴によるデメリット、貧困地域で外科手術を行うことへの近年の批判、結局国際医療を通して何がしたいのか、などなど、如何に自分が漠然とした見方に偏っていたかが身に染みた。医学部の1〜2年は様々なことに広く浅く手を出す時期かもしれない。だが、3年からは多かれ少なかれ現実的な選択を始めなければ、結局何も成したのかも分からぬまま終わってしまう気がする。



残りの学生生活あるいは人生を、如何に生きるか。当然予定通りにはいかないのが常ではあるが、何かしらの具体性を獲得すべき時期なのかもしれない。

長野県、佐久。何一つ断言できな今の時点ではあるが、また帰ってこれたらなと思う。

2 件のコメント:

  1. はじめまして。ブログ村でご一緒しているたきいと申します。「医大生・たきいです。」というブログを書いております。

    私も佐久総合病院を見学したことがあります。若月先生のご著書を読んでいるところです。

    さて、8月22日に大阪にてブログ村のオフ会を開催いたします。もしご都合がつくようでしたら、是非ご参加ください。詳細は僕のブログに書いておりますので、是非ご覧ください。

    ご連絡お待ちしております。

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  2. はじめまして、高校1年生女子です。
    私もアフリカの壮大な自然や美しい景色、そこで暮らす人々にとても関心があります。
    また、あきらさんの哲学的な考え方に、私自身も色々考えさせられてしまいました。
    次にブログを更新して下さるのがとても待ち遠しいです!

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