2012年7月24日火曜日

ルート決定の諸条件~インジェラという食べ物~



旅において、ある国(or都市or地域)を訪れるか否かの判断は様々な諸条件に委ねられる。
その地の治安情報はまず一番に確認する(すべき)ものだろう。戦争や紛争が起こっていたりと、情勢不安定な国ではそもそもビザ自体が取得できないことも多い。

それでは「治安」以外のキーワードとしては何があるのか?


僕の個人的な指標としては、「医・食・住(+観)」が挙げられる。



「観」は言うに及ばず「観光」のこと。要はその国に自分が求める観光的資源・要素があるか、だ。旅という行為が一般的に強く観光と結びついていることからも、まあ当然と言えば当然だが。

個人的には観光はそこまで重視していない、と言うより正確には、観光客があまりに多い場所にはさほど惹かれない。「何も無い」がある田舎村を訪れる方がずっと好きだ。ん、まあそれも観光の一種か。



次に、「住」、これはホテル・ゲストハウスのクオリティのこと。それなりの都市であればお財布状況次第で選択肢は広いが、そもそも宿泊施設の無い田舎だってある(スーダンなんかは特に)。

貧乏旅行者の僕にとっては「安い」宿の有無は非常に重要で、宿代が予算オーバーすると移動せざるを得なくなる。逆にキッチン、ホットシャワー等の設備が開放されていたり、テント泊が可能である宿は長く滞在することが多い。

加えてアジア・アフリカ・南アメリカなどの諸地域では「南京虫」と呼ばれる虫にも注意を払わねばあるまい。南京虫というのはパワフルなダニみたいなもんで(っていう勝手な認識)、衣服や木(ベッドが木製なら要注意!)に潜み、人様の皮膚を噛み荒らす。噛まれた箇所が3箇所以上直線に並んでいたら、まず南京虫によるそれと考えて良いだろう。病気等の害はないが、とにかく痒い。発狂しそうになるほどの痒みが続くこともあり、日に日に体中に増える赤い腫れを数えるのは非常に腹立たしく、現在進行形で僕もコイツにはずいぶん悩まされている。



次に「医」。「衣」ではなく「医」。これは「どのような病気が存在するか(又は流行しているか)」という情報のこと。暖かい地域では特に蚊が媒介する病気が多く、マラリアやデング熱、西ナイル、黄熱病...と、予防できるものもあればある程度割り切らなければならないものもある。

アフリカは特にマラリアの巣窟。旅をされていたご夫婦がマラリアで亡くなられたのはまだ記憶に新しいし、未だに年間何万もの命を奪っている病気だ。

予防法としては大別して①蚊帳を張る、皮膚の露出を避ける②予防薬を服用 の2択がある。①は誰しもが当然気を払うことであるが、完璧に予防するのは些か難しい。ここで登場するのが予防薬で、「メフロキン」などが有名どころ。ただ副作用が強いものもあり、こればかりは自分の渡航期間・訪問地域を考慮したうえで考えねばならない。ちなみに現地薬局でも購入でき、僕は今「MEFLIAM」というインドの製薬会社の物を試験的に服用している(体質で合う・合わないがあるから大量購入前に試してみるべき)。

と、少々マラリアネタで脱線したが、このように恒常的に起こりうる病気、それに感染したときの最悪のケースの想定(近くの病院までの距離、など)を熟考し計算に入れるのも、自身のルート決定においては忘れてはならないだろう。








さて、例によって前置きが長くなったが、ここからが本題。笑


最後の残る一つ、僕の中では一番ウェイトが大きい要素、それは「食」だ。その国々、土地土地の食文化を楽しむことは旅における醍醐味の一つ。

人間食わなきゃ生きていけないし、「食」にはその国の文化などが大きく関係していることも多い。

美味しいものを食べればハッピーになれるし、あまりに異なった食文化で口に合わないとアンハッピーにもなる、が、その場合も後から「良い経験だった」と振り返ることができる。いずれにせよ、どこに行っても口に合わないものばかり、という状況は有り得ない。


・・・はずだった。





【インジェラ】

「インジェラとは、テフという穀物の粉を水に溶き薄く焼いた、クレープのような見た目のエチオピアの主食である。」


この食物について調べるとそう出てくる。これだけだと「クレープ」という言葉からか、純粋に美味しそうな印象を受ける。が、これだけでは少々説明として不十分と言わざるを得ないので、いくつか追記することにしよう。


まずは見た目から。


インジェラは茶色がかった薄い灰色で、表面には発酵の際の空気が抜けた穴が残り、月面のような様相を呈している。来訪者からは「雑巾」と形容されることも多い。これらを考慮して上文に追加を施すと、


「インジェラとは、テフという穀物の粉を水に溶き薄く焼いたもので、雑巾のような灰色をしている少し気味の悪いクレープのような見た目のエチオピアの主食である。」

次に味について。

先に述べたように、どうやらインジェラ生成の過程には「発酵」というプロセスを挟むようで、それ故にクレープでイメージされる一般的nよりも酸味が強い。

つまり、

「インジェラとは、テフという穀物の粉を水に溶き薄く焼いたもので、雑巾のような灰色をしている少し気味の悪いクレープのような見た目のエチオピアの主食であり、発酵というプロセスを経て独特の酸味と月面のようなブツブツな表面を持つため旅人からは時折『見た目は雑巾、味はゲロ』と揶揄される」


最後に、インジェラの最も恐るべきは「どこに行ってもある」ということだ。田舎に行こうが都会に行こうが関係ない。日本人の米、イタリア人のパスタ、アメリカ人のマクドナルドである。言い過ぎか。


そして、何を頼もうと、円盤のような盆に収まりきらぬほど大きな「それ」の上にトッピングされてしまう(ちなみにインジェラの栄養価は想いの他高いらしい)。


これらを加えると


「インジェラとは、テフという穀物の粉を水に溶き薄く焼いたもので、雑巾のような灰色をしている少し気味の悪いクレープのような見た目のエチオピアの主食であり、発酵というプロセスを経て独特の酸味と月面のようなブツブツな表面を持つため、栄養価が高く安価という魅力を持つにも関わらず、旅人からは時折『見た目は雑巾、味はゲロ』と揶揄され恐れらており、田舎だろうが都会だろうが円盤のような盆から飛び出すほど大きいそれが必ず出てくるため逃れることは出来ない、という、エチオピア人の特徴的かつ個性的なソウルフード兼伝統料理である」


はじめて食べたインジェラが「限界突破したようなヨーグルト×ひき肉」という組み合わせで出されたのも個人的なトラウマの要因と考えられる。
こんな感じ。インジェラ。

さあて、ちょっと書き過ぎてしまったので丁重にフォローを。

別にエチオピアにもインジェラ以外の食べ物はあります。インジェラの上に載ってる様々なそれらを普通のパンと一緒に出してくれたりするし(実際お米に載せると美味い)、イタリア統治時代の影響でスパゲッティ(これは大衆食堂で食べると美味しくない確立がすごく高い)もどこに行ってもあるし。

インジェラ自体も、食べ合わせの味が濃ければ「ちょっと酸っぱいかな」くらいで普通に食べられます。が、ただ3食それは好きでないとキツイかなーっていう話なわけで。


「嫌いなら文句言わずにスパゲッティ食べとけクソが!」

そう、分かっています。基本的にスパゲッティ食べてインジェラから逃げてきました。

ただですね、止むを得ない状況ってのが少なからずあったんです。

・親切にしてくれた人が奢ってくれ「さあ食べろ!」とインジェラを差し出されたとき。
・長距離バスの休憩で立ち寄ったレストランで「スパゲッティは時間がかかるから無理」と断られたとき。
・そもそも言葉が通じず何故かインジェラが出てきたとき。
・えとせとら、えとせとら。

僕にとって何が問題だったかって、これが「主食」ってことですね。ただでさえ移動やら人やらハードなエチオピアなのに、レストランに行ってインジェラしか無かったときの絶望感はなかなかなものです。

((日本食だって「納豆」とか相当だと思うけど、これは避けられるもんなー。インジェラ嫌いなエチオピア人とか、どうしてるんだろ(というかいないのかな)?っていう独り言。))




と、無駄に長くなりましたが、「インジェラは好き嫌い分かれるから気をつけてください!」ってことで!好みの問題で、別に馬鹿にしてるわけではありませんよ!







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リアルタイムでは現在ケニアのナイロビにいます。インジェラから逃げました。笑
ウガンダ、南スーダン訪問も考えましたが、「人にお会いする」ことを重視した結果、1ヶ月強ケニアに滞在することになりそうです。
エチオピア編も今回で終了。ケニア編に乞うご期待!

1 件のコメント:

  1. うける!
    またインジェラネタかい(笑)
    まぁ人には得意不得意あるからね。
    どんまいです。

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