2012年5月15日火曜日

星と砂漠と見えるもの。



カイロ到着の翌日、ベニス細川家(日本人宿)の白砂漠・黒砂漠ツアーに参加した。

メンバーはダハブでお世話になった世界一周中の後藤夫妻、同じく世界一周中大学生のキョウヘイくん、スコットランド留学中のヒロキさんと、そのお兄さんのマサキさん。総勢6名。



朝7時に寝癖のまま車に乗り、カイロ市内から約5時間ほどの砂漠地帯へ向かう。

有名なギザのピラミッドを過ぎて1時間程で、あたりには何も無くなった。砂漠を切り開いたような真っ直ぐな一本道を120kmで進む。砂、砂、砂。

そんな車窓からの景色にも飽きてきた頃、ホテルのような場所に到着。昼食をとり、車を乗り換えた。乾いた大地で飲む冷えたスプライトは最高に美味い。



まず向かったのは黒砂漠と言われる砂漠地帯。

「砂が黒いのかなー?」なんてワクワクしていたけど、実際は普通の砂の上に黒い石が落ちている感じ。黒ゴマプリン的な。

ガイド(兼ドライバー、兼コック)が言うには黒いのは火山だからだ、とか。石を手に取って投げてみると小気味良い音をたてて割れた。







しばらくドライブすると、急に運転手が脱線して砂漠に突っ込み始めた。「I am a good driver!」とか言いながら砂地でアクセル思いっきり踏みやがる。下手なジェットコースターよりスリリング。

着いたのは水場。運転手曰く「This is a cold spring!」とのこと。すごい鉄くさいプールみたいな感じ。もちろん飛び込んで泳いだ。体中が鉄くさくなったのは言うまでもない。





窓から入ってくる風で髪の毛が完全に乾いた頃、ついに白砂漠地帯に到着。

まずはクリスタルが一杯落ちているエリア。太陽光が反射してキラキラしてる。

近くで見るとこんな感じ
離れて見るとこんな感じ。
我らがドライバー。ノリがよいおっさん。「スゴイスゴイ~」が口癖。


「砂漠でギターのハードケースを持って歩いてる写真を撮る」

大してギター弾けないくせにわざわざ7kgの重りを日本から持ってきた目的の一つ、というか6割方このために持ってきたのだが、それをついに達成できた。撮影はプロカメラマンの後藤さん。

 かっ、かっこいい!完全に自分に酔っちまうね、これ。元取った気分。





遠くに見える岩石群が白く霞んで幻想的。
夕日に照らされ橙に染まる白岩石。カップケーキみたいな不思議な形。



そこから更に砂地をフルスピードで進むこと約30分、”白砂漠”って言えばココ!っていう有名な岩石地帯に到着。

平坦な大地に、見渡す限り石灰岩の奇岩が乱立している。白の森。

岩砂漠のシナイ半島とは違った様相を見せるこの地域はとても平坦。太古の地殻変動で土地が褶曲し、何億年という歳月をかけ風化し、突起部分が削られたためだという。

自然に出来たとは俄かに信じ難い数々の石灰岩を眺めながら、それを形作ってきた気の遠くなるような時間に思いを馳せる。

目隠しされて突然ここに連れてこられたら、異世界に来たんじゃないかって本気で勘違いしそう、そんな光景。

モロッコで見た砂嵐、アレとはまた違う大自然の力。それを感じずにはいられなかった。

ひとつひとつが特徴的な石灰岩群。
イイ感じの写真撮ってみた。まあ、相手はキョウヘイくんなんだけどもwww


白砂漠の夕焼けは静かだった。太陽が大きい。白いキノコの向こうに沈んでいくそれを、ただただ眺めていた。

薄い雲が適度に出ていて、日没後の空が赤から紫に染められていく。

砂漠の空は広い。

砂の上に横になって、そんな大自然のショーに魅入った。

写真じゃ夕日の大きさが伝わらないのが残念。
異世界にきたかのような風景。マジックアワー。
大自然のショー。



砂漠の夕景を満喫した後、キャンプと夕飯の準備を開始。暗くなるのが早い。

焚き火を起こすと、肉のおこぼれに預かろうとしてか、どこからともなくキツネが現れ始めた。耳がピンっとたっていてかわいい。本気で追いかけたけど走るの速い速い。

夕飯はスープとジャガイモのトマト煮込みをお米にかけたやつとチキン。最高に美味い。ベドウィンティーとウィスキーのミックスが意外とイケル。

その後、火を囲んで怖い話をしたりと、ゆるーりキャンプを満喫。

マットを敷いて寝袋にくるまって、12:30ころまでキョウヘイくんと恋バナ。中学生かっ、ていうね。砂漠と星と恋バナと。

キャンプの様子。雰囲気イイ。
火影が足跡をゆらゆら照らす。



寝る寸前まで寝袋から顔を出して空を見ていた。焚き火の木が燃える音以外には何も聞こえない。完全な静寂が逆にうるさいほど。

地平線まで落ちそうな、満天の星空。それはもうすごい数で、星がありすぎて逆に星座が分からない。

そんな砂漠のプラネタリウムを見上げながら、「星ってこんなにあったんだなー」と素直に驚く。

東京や新潟には少ししかない星が、ここでは見える。

いや、「星の量」に変わりはない。要は「見える」か「見えない」かの違いである。

天気や空気の澄み具合、建物の高さによる視界や街灯の灯り、そういった諸々の要素の組み合わせが生む結果、それが違いを作ってるわけで。



東京や新潟では見えないものが、ここでは見える。


結局、これを見るために旅してるんだと思う。

これっていうのは単に「星空」というわけではなく、「日本では見えない、気づかないもの」の事。

単純に知らないことを知る、ってのに加えて、今まで見えていた「普通」がいかに日本っていう枠組みの中の発想であったかを知る、そういった気づき。

それに気づいたからといって年収が上がるわけでも地位が上がるわけでもないけど、人生が豊かになるような気はしている。というかそう信じてる。


砂漠の星空はそんな「旅の醍醐味」の分かりやすい例なんじゃないかな、そんなことを思いながら流れ星を数えた。





皆が動き始める音で目を覚まし、朝日を眺めた。

昨日見た夕日のように大きく、静か。太陽が昇るに連れて空気が温まっていくのを感じる。裸足に触れる砂がひんやりと気持ちよい。

一日の始まりと終わりに寄り添う生活、過酷な乾いた地のそれにすら、幸せのひとつの形を感じずにはいられなかった。

東の空から昇る。
朝食風景。砂漠の夜は冷える。
帰り道はみんな爆睡。さすがに移動時間が長いのは疲れる。けれどメンバーの顔からは、疲労と共に満足の色が見てとれた。





3月12日に日本を発って、ちょうど2ヶ月目の日を砂漠で迎えた。

僕のスピードが遅いのか、アフリカが思ったよりも広いのか(十中八九前者)、これを書いてる今現在もまだ二カ国目のエジプトにいる。

胸を張って「これを悟った!」なんて言えるような事はまだないが、少しずつ世界地図と自分の意識の距離が近づいていくような感覚を覚える。

「高慢な旅人になるなよ。」

先日、父親からのメールの最後に括られていた一文。天狗になりやすい自分の性質を良くわかってらっしゃる。

謙虚に、シンプルに、アクティブに。

まだまだ旅は始まったばかりなのだから。


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カイロでビザワーク中です。
時間けっこあるんでマメにブログ書こうかなーなんて思ってたり思ってなかったり。

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