一日オフ日だった僕は、手形通りにあるお気に入りのカフェ「familia」で昼下がりの時間を楽しんでいた。雨がやみ終わった頃物理の課題を終え、ふと思い立ったようにマインドマップを描き始めた。テーマは僕が秋田で立ち上げたいプロジェクトについて。今まで思考の中にぼんやりとしかしていなかったことだが、なんとなく輪郭がはっきりしてきたので、今現在の段階では全くの机上の空論ではあるが、興味のある方は是非お付き合い頂きたい。
ブログでも頻繁に書いているアメリカ留学・インド放浪。これらの経験は期間や質、国、内容、目的は違えど、僕の中ではエッセンシャルなもので、自身を語る上で外せない要素になっている。たった1年の異文化の中での生活とたった3週間の放浪ではあったが、それによって受けた刺激と影響は、自身の視野と想像力を広げるのにおおいに役立った。
それ故に、エラそうに語れる立場ではないのだが、高校のときから同級生に海外渡航をすすめてきた。どんなスタイルでもいいから一度異文化に触れてみること、それが自身の経験から人生にとって非常にプラスのことであるように感じたからだ。
しかし、やはりというか、得てしてこの類いの話をしても興味を持ってもらえないことのほうが多かった。より正確に言えば、相手に伝わることが少なかった。僕のバックグラウンドが弱いせいもあるだろうが、その一因として海外をどこか遠い世界の話と思ってる傾向が多くの学生たちにあるように思った。グローバル化とNEWSやTVが声を大にして主張している。物質的にも精神的にもグローバル化は進み、世界は互いの距離を着実に縮めている。その事実には疑う余地はないだろう。ただ、実際それが社会にまだ出ていない学生にとって身近に感じられるものであるか?と考えるとき、僕は必ずしもそうであるとは言えないように感じる。言語は日本語、学校も日本人が圧倒的多数、街中で外国人とすれ違うことはあっても友人に外国人はさほどいない、注目されるメディアの情報も大抵は国内のもの、毎日の部活や勉学に追われグローバルなどと言ってる暇もない、簡単に国境を超えられるような環境もない、日常的に外国語を使える人だってそう多くはないだろう。
つまり、自分からアクティブに求めない限りグローバルとはさほど関わらず過ごすことが可能、現実はそうなのではないか?(もちろん全ての人がそうだとは言わないよ)
だが決して多くの人が何の興味も持っていないようには見えない。事実大学に入ってから放浪を始めた友人は数多くいる。要は多くの人にはキッカケがないのではないか。
断っておくが、僕は別に海外へ行くことを強制しようとしてるわけではない。一度きりの人生をどう使うかは本人の勝手だと思っているし、別に興味がないならそれでいい。人生を満たすエッセンスは他にいくらだってある。
ただ、なんとなくでもキッカケを求めているのに、それがなかなか見つからない学生が少数ではあるがいるように感じる。自分でそれを見つけられる人がいる一方、毎日に忙殺されそれを見いだせない人もいる。今春大学に入ってまだ半年ではあるが、僕が個人的に関わった中にもそんな人達が見受けられた。
正直グローバル化を偉そうに語れるだけのバックグラウンドは僕にはまだない。ただ、既にキッカケを掴み、それを提供できる立場にあり、何よりニーズがあるのであれば、そういったキッカケ作り、即ち「学生の海外志向の底上げ・活性化」をプロジェクトとして行うのもアリではないか、そう考えるようになった。
上の結論に至った大きな要因がもう一つある。それは国内の情報の偏在とでも呼ぶべきものだ。友人の話を聞いたり、自ら訪問する度に思うのだが、やはり都会には 情報とチャンスと志を共にできる仲間 が溢れているように強く感じる。数多くの様々な学生団体が存在し、オモシロい人も集まりやすい、そういった地域では、キッカケを手に入れる敷居が比較的低いように感じる。
対して僕のこれから6年過ごすことになる秋田では、そういった都市圏に比べ、圧倒的に情報が少ない。インターネットを介して多くの情報を得ることもできるが、あまりに直接的な繋がり・キッカケに欠けるように感じる。(もちろん秋田でも勢力的に活動されてる団体は多くいるが、その総数と知名度において劣っているのは事実ではないか。)また海外系の活動をしている団体も、キッカケの提供というよりは、もっと具体的な目的に沿って動いてるように感じる。
今までの人生には何の不満もなかった
この大学2年間
仲間たちと飲んでは朝まで騒ぎ
なんでお前が!?と言われるくらいかわいい彼女もでき
授業は出てないのに単位が取れ
休みはめいっぱい旅行をして
何の不満もなかった
ただ何かが足りなかった
漠とした不安だけがどこかにあった
このまま楽しい大学生活を続け
それなりにやりがいのある仕事について
温かい家庭を持って
そこそこ裕福な暮らしをエンジョイして
老後はのんびり趣味に費やし
そして安らかに死んでいく
そんなシアワセな将来を思い描くと
不安になった
もっと違う何か
もっとすばらしい何かがあるかもしれない
その何かを見ずに
その何かを探そうともせずに
このシアワセに流されていく
そんな自分が怖かった
たった一度の人生
俺は本当にこれでよかったのか
こんなシアワセを俺は求めていたのか
いつかやってくるその問いがこわかった
これは岩本悠さん著の「流学日記」の冒頭である。こんな思いを抱えながらも、じゃあどうすればいいのか、と悩んでいる人はいないだろうか?最近上映開始された葉田広太さんの「僕たちは世界を変えることができない」を観て胸をアツくしたが、現実に自分が関わる世界とは遠いところにあると思い込んではないだろうか?そしてそんな毎日に違和感を感じてはいないだろうか?
比較的多く時間がとれ、まだ将来に広い可能性を持てるモラトリアムな学生時代だからこそ、多くの経験を積み、本当に興味のもてる何かを見つけるべきだと思うし、それというのは待っているだけでは手に入らないだろう。危機感からくるモチベーションではなく、自らの内側から溢れ出すようなモチベーションで、自分自身も他人もを巻き込んで影響していくこと。それは決して不可能ではないんじゃないか。
本題よりも長い前置きとなったが、以上が僕がこの土地で、「秋田での学生による学生の海外志向の底上げ・活性化」をできるようなプロジェクトをしたいと思うようになった経緯だ。残念ながら今の段階ではまず自分に知識や力が足りてない上にリサーチも不足しているので、あくまで発案程度のテンションではあるが、このプロジェクトを仮に「学び人(マナビビト)プロジェクト」とでも名付けておきたい。(「学ぶ」ことの重要性を常日頃感じているからなんとなくの命名。センスがないのはスルーしてください。)
学び人プロジェクト(仮)の最大の目的は、繰り返しになるが、秋田の学生の海外志向の活性化・底上げだ。無理矢理に、というわけではもちろんなく、少しでも興味を持っている人にまずは情報を提供するところから始めたいと思っている。そのためにもまずは自分自身が提供できるだけの何かを手にいれねばならず、その意味でも来年の自身の流学は大きな意味と課題を持つ。
活動・企画内容としては、具体性なんてまだ何もないのだが、次のようなものを思いついた。
・文化祭ブースの活用(来年度から医学部のキャンパスでも文化祭が行われる。)
・写真展(1万円程度で借りられるアトリエがいくつかある。)
・フリーペーパーの作成(実際に旅に行ってみて感じたことを、各々の学生が各々の視点から綴る、みたいな。)
・講演会の主催(旅関連の人を。)
・秋田出身のワールドワイドに生きる人の話を聞く機会を設ける
・チャリティーなどのイベント
・旅や留学についての定期説明会
・ブログ運営(都市部の情報の輸入)
・「旅」のスタディツアー
などなど。中でも一番オモシロいんじゃないかと個人的に思うのが、最後の『「旅」のスタディーツアー』だ。海外へ行くにはいろいろな方法がある。団体ツアーであったり個人旅行であったり、その形態は様々であろう。ただ、現実的に、どれも高額の費用がかかる。その点から考えると節約を前提とした個人旅行が一番現実的、と言える。(実際、僕はいわゆる個人での貧乏放浪の方がその国の多くの側面を見てくるのに適しているように感じる。)ただ、コストを押さえる所謂貧乏旅行は、ツアーなどに比べ自由度は高いが、必ずしも安全とは言えない。(この点で諦める人も多いのでは?)しかも実際に単身で飛行機に乗り込むのはなかなか勇気もいるだろうし、語学力に不安のある人も多いだろう。僕自身も日常会話+αの英語ができたことと、昔から父親に貧乏放浪のハウツーを教えてもらってきたからこそ、単身インドに飛び込めた部分もある。それ故に、このツアーで「旅の仕方」というのを学ぶスタディーツアーを提供すればいいのではないか、と思いついた。一般的にスタディーツアーといえば、NGOなどの国際機関の提携で、コンパクトに安全に特定の事柄を学びに海外へ行ける。(明確な目的がある場合はそちらを利用すべきだろう)僕が提供したいのは、海外へのキッカケを求めている学生に対する「旅そのもの」のスタディーツアーだ。宿の探し方であったり、交渉の仕方であったり、言葉の通じない場所でのコミュニケーションのとりかたであったり、危険を見分けるスキルであったり、そういった旅に必要とされる知識は得てして自らが放浪する中で見つけるものであって、他で勉強できる機会は少ないのではない。そのようなハウツーを学べば、次は個人でとチャンスも広がるように思うし、そこから各々が見てきた世界を学生の視点から表現していく何かしらの媒体を作り、次へ次へと活動を定期的かつ長期的に行っていくためのポイントとなるのではないか。(僕だけで独り相撲したって何の意味もない。)要は旅スキル的なものの継承のようなことを行っていきたいと思っている。(これにはまず僕自身が旅スキルを確立する必要があり、それも来年度の流学の課題ではあるが。)
あくまでこれらは僕がさっと思いついたもので、もっとメンバーを募ってアイディアを出し合えば更にオモシロいものが造れるだろう。同じ世代が何かを造り上げていくことの重要性は僕自身が度々繰り返し口にしてきたことでもある。同じ世代だからこその刺激というのを大切にしていきたい。
以上、さんざん自分の理想を書き連ねてしまったが、まず前提としてプロジェクト始動にあたりある程度のメンバーを揃えねばなるまい。まずは企画を手伝ってもらうメンバーが必要で、その条件としては留学や旅を経験したことがあり、それについて語りたい思いがある人といったところだろうか。他にも多くのコネを作る必要もあるだろう。そしてそれ以前にニーズをもっと調査し、プロジェクト自体に具体性をもたせなければならない。スポンサーの確保だって必要だろう。
仮に、そういったニーズが証明でき、プロジェクトが始動できたとしても、個人的にだが秋田には保守的な雰囲気があるように感じる。そのあたりも大きな課題の1つとなりそうだ。
とまあカタい感じのオナニー妄想になっちゃったけども、これ実現できたらアツいと思うんだよなー、ニーズはあると思うしなー。本格的にやり始めるとしたらとりあえずおれがアフリカ放浪終えて自分にハクつけてってからになるけど、それまでにコネつくったりそれとなく人勧誘したりせねばねー。
少しでも興味もった人はコメントや連絡いただければ幸いです。長文失礼しました。
こんばんは。秋田大学医学科1年の者です。
返信削除友達の勧めでブログを読ませていただきました。
衝撃でした。
今の井口くんの思考の原点はアフリカにあるようですね。
私もアフリカに興味をもっています。
今年の夏休みにはケニアに10日ほど滞在する予定でした。
しかしケニアに最近まで住んでいた父の友人によると、今はケニアは非常に治安が悪く、現地の人同伴+車での移動は必須で、特に肌の色の違う若い女性は狙われやすいとのことでした。
その父の知人が体調を崩して日本の病院に入院していることもあり、今回は断腸の思いで断念しました。
ケニアに行くことは長年の夢でしたので本当に残念です。
来年行われる選挙の影響だと聞きましたが
父親が大好きなケニアがおかしくなっているということが悲しくてなりません。
私の父は30年ほど前に2年間JICAの一員として住んでいました。
小学校で算数の先生をやっていたそうです。
父はその前は日本で他の仕事をしていましたが
医者になってまたケニアに戻りたい
と思い、医学部に入りなおしました。
私も父が医者になろうと思ったきっかけであるケニアを見てみたかった。
そして私が知らない世界を見て、自分のこれからのことを見つめなおしたかった。
正直、私が医者に向いているとは全く思えません。でも今の私にとって医者が一番魅力的な職業だとは断言できます。
私は高校時代、
なぜみんなは世界のほんの一部しか見ていないのに、自分の進路はこれだ
と決められるのだろうと不思議でなりませんでした。
世界の全てを見ることは不可能です。
でも私はできる限り多くの経験をして様々な未来を思い描いてから
医者になる
と腹をくくりたいという思いがあります。
狭い世界で浅い考え方で医者になることの決心をしたくないのです。
高校3年生の夏に医学部を目指す決心はできましたが、未だに本当に医者になる決心はできていません。
明確なビジョンも持てていません。
これからじっくり考えていきたいです。
井口くんのブログはその助けになってくれる気がしています。
私はひとり旅もしくはふたり旅をしてみたいと思っていますが(なんとなくケニア、カンボジア、タイなど)
家族での国内旅行と、中3のときに市のプロジェクトでニュージーランドで10日ほどホームステイをしたことしかありません。
井口くんの言う「旅の仕方」にとても興味をもっています。ぜひ知りたいです。
今度話しかけようと思うのでよろしくお願いします。
長文失礼しました!
どうも初めましてコメントありがとうございます!こんな無駄に長い上に稚拙な雑記に目を通していただいて嬉しい限りです。
返信削除ケニアが今そのような状況にあることは知りませんでした。改めて勉強不足を痛感。僕自身、ケニアは思い入れのある国なので、治安のせいで38さん(でよかったでしょうか?)を含む多くの旅人が渡航を控えているという話は残念です。
話は変わって、38さんのお父さん、すごくアツい方ですね!再受験してまで医者になってケニアへ行きたいなんて、そんなお父さんなかなかいませんよ!うらやましい。お会いしてお話聞いてみたいです。
38さんの医師や職業選択に対する思い、コメントを読ませてもらって、勝手な憶測ですが僕のそれとかなり近いように感じました。以前別の記事で書かせてもらったんですが、僕が医学部を受験したのはぎりぎりまで迷った上での決断で、そこに人に説明できるような理由は正直ありません。当面の進路を決めることに焦っていた部分もあったように思います。
それ故、今でもまだ葛藤は続いていますぶっちゃけ。医師としてやりたい事の方向性もまだぼんやりとしか見えてないのが正直な現状です。
これはそのうちもっと自分の中身を整理し言語化できるようになったらブログに書こうと思ってるんですが、僕にとって来年のアフリカ流学は、そういった自分と向き合い、自分が将来進むフィールドをなるべく早い段階のうちに見てこよう、といった意味合も含んでいます。今現在医学に興味が強いのは事実ですが、他によりやりたいことが見つかれば最悪退学・再入学も可能性としては考えてる感じです。
>>「高校時代、 なぜみんなは世界のほんの一部しか見ていないのに、自分の進路はこれだ と決められるのだろうと不思議でなりませんでした。」これは本当に僕もそう思います。正直、一体どのくらいの人がビジョンをもって進学しているのか、僕にはかなり疑問です。「自分が今まで生きてきた世界の中で心からやりたい事が見つからなかったから、じゃあもっと世界を広げてみよう」、大学生や高校生でこんな風に考える人のほうがむしろ稀だと思います(レールに沿うことが正しい、みたいな価値観を社会が形成してる節があるような雰囲気すら感じます)。
大学生は大学生で、モラトリアムの有効活用できてる人が周りにほんとに少ない気がしてならないです。生き方について考える。自分の知見を広げる。人間として大きくなる。様々な引き出しを身につける。自分のことを棚に上げるようで情けない限りですが、実際にこれらのことを意識して過ごしている大学生が、一体秋田にどれほどいるのでしょうか。臭い言い方をすれば「自分探し」のような+αの活動ってのは、情報と選択肢が氾濫しているこんな時代だからこそ必要なのではないでしょうか。
と、またどうでもよく長くなりましたが、一人旅ほんとにおすすめです。38さん自身、旅に興味があるということで、もしよかったら学び人プロジェクトを手伝っていただけませんか?(実際かなり本気です。というか秋田を変えたい!くらいの勢いです。)僕の情報なんかでよければいくらでも提供するんで、いつでも話しかけてください、というかガッツリお話しましょう。笑 長文失礼しました。
てへぺろ。
返信削除いいこと、かくじゃん。
>>けん
返信削除あざーす、ぺろり。けんのLLPだっけ?オモシロそう!