ついさっき、ここ1週間ほど時間をかけて丁寧に読んでいた、ジョンクラカワー著の「荒野へ」を読了した。
まだたったの1度読んだだけだが、思わずこうしてブログに綴ってしまってるほど感銘を受けた。
僕にはこの300ページの単行本の感想を数行でまとめるだけの文章力はないし、実際のところまだこの本が自分に与えた思想的な影響を測りかねているため、レビュー的なものは他の方々のそれを参照していただきたい。
大学に入って間もないころ、友人(彼もまた旅人である)の強い薦めで本作を知った。最初に見たのは映画版「into the wild」で、強い衝撃を受けた。
原本の書籍のほうにも手を出そうと思いながらも時間は過ぎ、最近になってやっと日本語訳版ではあるが購入に至った。
映画も衝撃的だったが、個人的にはこの書籍版をおすすめしたい。映画では描かれなかった背景や、主人公クリスの思考、また彼との交流をもった人々の証言が多く書かれている。
また、作中にはクリス本人の言葉も含め、多くの哲学者達の格言が載せられており、心の琴線に触れるようなものがいくつかあった。あまりネタバレするのは気が引けるので、1つだけ僕にとって印象的だった部分を本文より紹介してみる。
「多くの人は恵まれない環境で暮らし、いまだにその状況を自ら率先して変えようとしていません。彼らは安全で、画一的で、保守的な生活に慣らされているからです。それらは唯一無二の心の安らぎであるかのように見えるかもしれませんが、実際、安全な将来ほど男の冒険心に有害なものはないのです。男の生きる気力の中心にあるのは冒険への情熱です。生きる喜びはあらたな体験との出会いから生まれます。したがって、たえず変化してやまない水平線を我が物にしているほど大きな喜びはありません。毎日、あたらしいべつの太陽を自分のものにできるのです。(中略)ためらったり、あるいは自分に言い訳するのを許さないでください。ただ、飛び出して、実行するだけでいいのです。飛び出して、実行するだけで。そうすれば、ほんとうによかったと、心から思えるでしょう。」
超個人的な傲慢だが、ほーんのちょびっっっっとだけ、クリスが荒野へ入っていった気持ちが、なんとなく分かる気がする。圧倒的な大自然に立ち向かい、自己に挑戦し、自分自身と向き合い対話すること。クリスの決意と覚悟を自分のちっぽけすぎるそれらと比べることは到底できないが、僕自身、旅そのものに対するベクトルは違えど、来年の日常からの逸脱と流学に期待しているのはそういったことなのかもしれない。この本はアフリカの地へ持っていき、もう1度読み返そうと思う。
本や映画に詳しくない僕だが、今まで数冊・数本の「ただおもしろいだけじゃない」作品に幸運にも出会ってきた。本作を読了し、主人公のクリスにどのような思いを抱き、またこの1つの壮大な物語から何を紡ぎだすかは、当然のことながら読者次第である。だが、この「荒野へ」は人生レベルで深く影響を与え、一生手元に置いておき何度も読み返したくなる作品の1つになり得るように感じる。
最近の本ではないので、今更wといった風ではあるが、もし未読の方がいたら是非手にとってみて欲しい。
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