トドラからおよそ140km、イミルシルの手前にあるノマドの村「アグダール」に一泊二日で行ってきた。
タクシーの中ビールとタバコを両手に、絶景の岩山を眺めながら登っていくと、畑と山と空に囲まれた村があった。
標高2300mから見る空は近い。観光するところなんて何も無く、ただ人々が農業や織物で生活を営んでる、そんな村。
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村に着いた夜、宿の中庭でヤギ肉BBQをしていたとき、アメリカ人の男にあった。
彼はピースコア(だっけか?)という団体のメンバーで、この村の子供たちに英語を教えているという。
任期は2年。かろうじて電気は通っているが、インターネットやショッピングモールなんてもちろんないこの村で、たった一人、2年。
「若いうちに異文化を体験したかったんだ」
そう話す彼は現地の言葉であるベルベル語も堪能で、知らない単語を耳にしては小さなノートにメモしていると言う。
この村の、この土地の一員になるべく努力してる姿が、純粋に、かっこよかった。
彼はまだ25歳。残る15ヶ月の任期を終えた後は、帰国し医学の道を志すと語っていた。
「彼と歳もそう変わらない自分は、もし同じ立場になったとき、同じ決断を下せるだろうか」
そんなことを考えてしまう。
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ノマドの子供たちは本当に可愛かった。
観光客が珍しいのだろうか、朝食を食べていると柵から顔を覗かせてくる。
ギターで適当な日本の曲を弾いたら喜んでくれた。
カメラを向けるとキャーとか言いながら逃げる、逃げる。でもそのうち撮って撮ってって寄ってくる。
標高が高いからなのか、皆ほっぺが赤い。可愛い。
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「何も無い」が「ある」、そんなのどかな村。必要以上のモノは何も無いシンプルな生活。
旅人なら一度はあるんじゃないだろうか?
ガイドブックにも載っていない自分だけの場所を見つけ、人に紹介したくなる。
だが、観光客が多くなり、その場所が今のそれと変わってしまうのは嫌。
そんな気持ち。そんな矛盾を孕んだ葛藤。そんな余所者のエゴ。
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帰りのミニバスに乗り、子供たちに別れを告げた。
僕の旅は続く。この村の生活も続く。別々の道がたった一日だけ交わった偶然。
「ここの子供たちが、この先もずっと笑顔でいてくれれば、それでいいのかな」
そんなことを思いながら村を後にした。
ネット環境がなかったんで、リアルタイムから少し遅れての更新ですっ。
昨晩サハラ砂漠の町メルズーガに到着しました。しばらくは砂漠で物思いますっ。
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