2012年6月18日月曜日

人に優しくされたとき。後編



マリヤ村には店の類が一軒もない。家自体が3件くらいしかないから、まあ当たり前だけども。

冷たいコーラやミネラルウォーター、チップスなどもちろん手に入らないし、食堂や屋台も当然ない。




ソレブの遺跡から戻ると、一家は結婚式の準備に出かけていた。朝から何も食べていない僕は腹をすかせ、木陰で熱風を浴びながら暑さをやり過ごしていた。


すると、隣の家のビッグママ!って感じのおばちゃんが「あんたこっちきなさい!」みたいな感じで手招いている。何かと思って着いて行くとお昼をご馳走してくれた。

ヤギの乳のヨーグルトは酸味が美味しい








洗濯物がすぐ乾く
クレープの余りを揚げて砂糖まぶしたお菓子まで作ってくれた

「美味しい、美味しい!」、そう言いながら食べる僕の横で、ビッグママは笑顔でもっと食えと言ってくる。

「シュクラン」、アラビア語で単純な「ありがとう」しか伝えられないのがもどかしかった。





近所のおばちゃんたちの前でぷちライブ

結婚式会場はマリヤ村から車で20分程離れたコエンカという、未だかつて旅行者行ったことないんじゃね、みたいなナイル川沿いの村。

14:00に迎えの車が来てくれる手筈だったが、結局乗り合いタクシーが来たのは17:30。これが噂のアフリカンタイムか。




コエンカに着くと男と女は別の家へ。アブドゥルとその息子たちが色んな人に僕を紹介して周ってくれた。お年寄りから子供まで、どんどん人が集まってくる。

西の空が赤く染まり始めたころ、人々に連れられナイル川沿いへ。皆写真撮られるの大好き。「うちのおじいちゃん撮ってー!」みたいにせがんで来る。最初はちょっと恥ずかしがってた女の子も、何枚かシャッター切ると笑顔を向けてくれた。

川沿いで写真 皆カメラ大好き
女の子たち
80歳のおじーちゃん 最高齢 イイ顔してる
オマール君と赤ちゃん
子供たち
このおじいちゃんかっこよかった

22:00ごろまで男衆と雑談。英語話せる高校生のオマー君が通訳してくれて助かった。おじちゃんたち、すごいノリ良くて、ガツガツ質問してきてくれる。

「親族の祝いの席なのに何来ちゃってんのこのアジア人?」みたいな雰囲気は一切感じなかった。すごくウェルカム。「アキーラもイスラムになれよ!」みたいなジョークが飛び交うほど。

新郎新婦 魔女みたいなおばちゃんだけどもw
おばちゃんsも皆着飾って化粧してた

この日結婚する新郎のおじいちゃんもイイ人。女性の家の一室で新郎新婦がベッドに腰掛けて写真撮影するっていうメインイベントの時も、押し合いへし合いの中、僕を一番に部屋まで連れてってくれた。



女性の家ではでっかいプレートにスープや野菜、さっき解体してた肉なんかのフルコースが並べられてた。それを持っていって、男女は別々の家で食事。

男女が顔を合わせたのはこの時だけだったんだけど、150人近く人が集まってて驚いた。村人全員より人多い。もはや祭り。



一枚のプレートを5人くらいでつっつきながら食べた。モロッコの村で家族皆でクスクスをつっついたのを思い出す。この雰囲気がすごく好き。そして飯美味い。

食後、外に出て一服してたら、「暗闇は蛇がいるから危ないぞ!」ってライト持ってきてくれた。ベッドをどこからともなく出してきて、「アキーラ、お前はゲストだから座れ」っていって座らされ、皆ずらーっと僕の周りを取り囲む。





「何でこんなに親切にしてくれるんだろう」

宴の最中、何度も思った。見ず知らずの肌の色も違う、言葉すら通じない薄汚い旅人をどうしてそこまで迎え入れてくれるのだろう。

ましてやマリヤ村・コエンカ村の人たちにとって、結婚式は単調な毎日の中で飛び切りエキサイティングなビッグイベント。そんな自分たちの祭に余所者を呼んで、嫌な顔ひとつしないどころか、ちょっと鬱陶しいくらいに構ってくれる。

逆の立場で考えたら、当然、なかなかできることじゃない。



モロッコからエジプトに飛ばなかったら、アスワンで一週間待たなかったら、ワディハルファでもう一泊していたら、この結婚式にくることは無かった。

そんな偶然の連続が重なって、僕はそこにいた。

『人に優しくされたとき、自分の小ささを知りました』

MONGOL800の『あなたに』の歌詞。地平線まで落ちそうな星空を見上げながら頭に浮かんだのはこのフレーズだった。

嬉し泣きしそうになったのなんて、いつぶりだろう。

小さい。ほんとに自分は小さい。






翌朝、マリヤ村を発ち、次の町ドンゴラへ向かった。

アブドゥルおじいちゃんとその家族には、感謝の言葉が見つからない。

ハグしてお別れを告げ、写真を必ず送ると約束をした。



この世の果てまで続いているような、蜃気楼揺らめく砂漠の一本道。その脇で南へ向かうバスを待った。

「人に優しくありたい」、そう思いながらiPodから流れる「あなたに」に耳を澄ます。

優しさの連鎖。世界平和なんていう、曖昧で抽象的なコトバの一つのカタチなんじゃないかな、そんなことを考えてた。



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日中は40℃以上まで気温が上がるスーダン。
暑い時間帯にブログ書き溜めておいたから更新が楽チン。
早めにリアルタイム追いつけるようがんばりまーす!

4 件のコメント:

  1. アキラ君の写真、すごくイイよね‼(もちろん内容も)これからも旅、楽しんでね‼up楽しみにしてます(^ ^)

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    1. ありがとうございます!エチオピア入国後はいよいよアフリカっぽくなってくる予定なんで、楽しみにしててください~

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  2. すごく素敵な旅してるんですね。人のブログ読んでて感動したのは久しぶりです。僕もこれからスーダン、エチオピア、ルワンダくらいまで南下する予定です。どこかでお会いできれば嬉しいです!

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    1. 青木さん コメントありがとうございます!エチオピアはいつごろ到着予定ですか??アディスでツアー仲間探してるんですが、時間あえばどうでしょ?

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