アブダビにて。

「行ってきます！」

そう一言だけmixi、facebook、twitterに書き込みを残し、3月12日20:30、高校の同級生である三原と桜井に見送られ、僕は出国ゲートをくぐった。

（※当日の様子は三原がブログに詳しく書いてくれたんで、よければそちらもどうぞ。）

エスカレーターを下る途中、三原がガラスに手をあて叫んでるのが目に入った。

ガラスの厚みで声は聞こえなかったが、口の動きで「がんばれ！」と言ってることがわかった。

◆

大学に入学し、休学を決め、それに向かって具体的に行動し始め、その間ずーっとこの出国の日のことを想像していた。

高校時代、１１ヶ月の留学前夜でさえ不安で仕方なかったのに、今回は１３ヶ月間。しかも留学じゃなくて旅。言葉も文化も違う環境で、すべて自分でなんとかしなければならない。

条件的にはより厳しく、より未知な世界。小心者の自分がよく決意したなと我ながら感心するレベルだ。

『「やっぱり行きたくない」、そんな気持ちが勝るんじゃあないだろうか』、そう思っていた。

だが、不思議と、想像していたような不安は感じなかった。



不安や恐怖が無かったといえば嘘になる。

怖いもんは怖い。

病気・テロ・犯罪・紛争・・・・瞑想中にイメージした自分のこれからの１年には、常にどこかしら死の危険がつきまとっていた。

だけど、それ以上に、それを超えるほどに、興奮が勝っていた。

まだ見ぬ世界、同じ空の下で、何が起こり、誰が暮らし、何を思っているのか。

シンプルな好奇心が雑多の感情に打ち勝っていた、そんな風に思う。

留学前夜のただただ不安に震えた夜からすれば、大した成長じゃないか、なんて。

◆

飛行機は想像以上に快適だった。快適すぎて缶ビール３本空けた。

画面にうつった飛行経路の画像。暗いとこが夜で、明るいとこが昼。なんかこれ見たときすげーワクワクした。

機内の照明が安いラブホの枕元の明かりみたいに赤、紫、青、緑、黄色へと色を変えていた。

中国上空を通過中、飛行機の丸窓の外に広がるのは、果てしない闇だった。

その小さな窓から見える星空が、ただただ綺麗だった。

「この大陸のどこかで相棒おぎのはヘラヘラしてるんだろうな」、そんなことを考えながら、三原が作ってくれたプレイリストに耳を澄ませた。

・・・まあアニソンだけどね！

◆

二度の機内食を終え、隣が空席だったのをいいことに横になって眠っていると、いつのまにか経由地であるアブダビに到着していた。

機内アナウンスで「・・・外の気温は現在１７℃・・・」と言っていた。朝４時半で１７℃。夏かっ。

空港の標識にはアラビア語が書かれ、石油王みたいなアラブのオッサンが歩いている。

「ああ、ついに始まるんだ」そう感じた。

空港のトイレには「祈りの間」が併設されていた。イスラム圏にきたんだなあ、と実感。

空港の内装もイスラム色が濃い。おもしろい。

◆

喫煙所でサカモトリョウさんっていう早稲田の大学生と話した。これから友人のCAの寮に泊まり、シリアやヨルダンへ渡るらしい。CAの寮とか、うらやましすぎる！

明るくおちゃらけた人だったが、「紛争地をこの目で見てみたい」と言い放ったときの目はかなりガチだった。

シリアでは日常的に人が死んでいると聞く。成田の待合室で見たTVニュースもシリアのそれだった。

サカモトさん、もしこれ見てたらほんとに気ぃつけてください。写真楽しみにしてますけど、命大事にしましょうお互い。

◆

と、昨日今日のことを軽く綴ってみた。

今、アブダビ空港でカサブランカ行の飛行機を待っている。横文字使うと「トランジット」ってやつだ。どやっ。

することもなく、８時間近くぶらぶらしなきゃならない。

土産物屋にまぬけな顔したラクダの人形が陳列されてるの眺めたり、TVでニンジャタートルやってるの見たり、まあ暇。

カサブランカにはどうやら１９時ころ着く模様。そこからマラケシュへ移動したいんだけど、電車あるかなあ？














感覚がそれとなく研ぎ澄まされてくのを感じる。


ああ、旅が始まった。


ワクワクする。ほんとに、ワクワクする。









追記　荷物は結局、バックパック＝１１．５キロ、ギター＝６．５キロ、でした。死にたい。

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