エチオピアの首都アディスアベバから、ケニアの首都ナイロビまで、総計移動時間41時間、バスを乗り継ぎ一気に南下した。
道中界隈に点在するエチオピア南部の町々を経由しながら、という方法ももちろんあったし、時間に押されているわけでもないので、確実にゆっくり南下のほうが楽、というのは自明であった。
が!
ダナキルは涙を飲んで諦め、南部部族はテンション上がらず訪問せず、そうやってでかいイベントがないままエチオピアを終えようとしていた僕は、完全不完全燃焼状態だった。
あらためて地図で見ると、果てしない距離がある... |
・ひたすら移動。ヒザや腰がやられる。
・道が悪い
・ケニア北部では時折山賊が出現(特に週末?)。運が良ければ身ぐるみ剥がされ、悪けりゃ一発アウト=死
・最短4日、最長1週間かかる
・ローリーと呼ばれるトラックの荷台に詰め込まれ身動きとれぬまま移動し続ける
エチオピア→ケニアの国境越えに関して、先人たちが残した情報から、僕が知っていたのはこの5つくらい。どう見ても楽しそうな要素はない。
この出発前から胃が痛む感じ。バスのチケット買う前から後悔する感じ。
「こ れ だ !! 燃え尽き精根尽き果てナイロビに辿り着こう、これぞエチオピアフィナーレにふさわしい!」
そう心に決めた翌日、即ち出発前日、僕は200Bを握り締めながら朝一のバス停でチケットを購入したのであった。
『アディスアベバ発、モヤレ行』
もう後戻りはできない。不安と恐怖とワクワクのブレンドフィーリング。1週間のアディス沈没で呆けていた体に戦慄が走る。
◆
エチオピアのバス移動を旅人たちは総じて「ハード」と評価する。
僕の経験からそれに理由を添えるならば、おそらく...
①バスの出発が朝クソはやい(夜間運行禁止のため、できるだけ早く出発する)
②朝クソ早くから揉め事にいちいち巻き込まれる(バス停は人ごみでごった返し。そんな中で旅行者はカモネギ。)
③道が悪い(基本的には舗装路だが、何故かコンクリートが波打ってたりする)
④エチオピアンは車酔いしやすい?(バスの前からビニール袋が回ってくる。酔い止めなのか、皆レモンを舐めており、車内はゲロレモン臭。)
⑤休憩で立ち寄る食堂はインジェラしかない。(しかもいちいち子供たちのマネーマネー攻撃を受ける)
⑥シートが直角。(南京虫もいたりする)
⑦バゲッジフィー・荷物料金なる謎の金を請求される、が、実際は単なる彼らのお小遣い。(幸いにか、僕はエチオピアで一度もバゲッジフィーを要求されなかった。これも一重に僕の日ごろの行いのお陰。)
...といった項目が挙げられるだろう。朝弱い僕にとって辛かったのは①、②。国家レベルで僕にイヤガラセしてるのかと錯覚するほどだった。
出発前日の夜は栄養価の高い食事を心がけ、早めに就寝。よく朝からの超絶長距離移動に備え、体を休めた。
(以下、日記より抜粋)
【7月20日 移動一日目】
緊張してるのか、なかなか眠れず。目覚めたのも4:00amと随分早め。これからTAXI交渉でバトル、バス探しでバトル、バス乗車でバトル...そう思うと胃が痛い。
5:30にはバス停へ。ホテル前に停まってたTAXIつかまえた。運ちゃんイイ奴で、マルカートのバス停まで50Bで行けた(普段は100とか請求される、早朝だしそれなりの値段を覚悟していた)。
まだ暗いのにバス停は人で一杯。やかましい喧騒。「3399」のバス探し回るも見つからず。ある人は「あっちだ」、ある人は「こっちだ」、と、混乱。
結局まだ来てなかったみたいで(昨日6:30出発って言われたのに)、7:00ごろまで凍えながら待ち続けた。
アメリカ在住のエチ人のおっさん(ダラスにも5年住んでたらしい)に会ったんだけど、弟の息子にパスポートやら何やら全部盗られたらしい。「有り得ない」って嘆いてた。ドンマイ。
バス停のおじちゃん達も親切で、「3399」バス来たとき荷物持って案内してくれた。感謝。
座席番号はまさかの1番(ドライバーの隣)!ここ広くて好き。
...と思ったのも束の間、「バスチェンジだ」と言われ、ちょいクオリティ落ちた違うバスへ謎の移動させられた。(ここでも無理矢理SeatNo.1確保)
2Bの揚げドーナッツと1Bのチャイ両手におっさんらと明るくなり始めた空の下、談笑。
出発する気配はまだないバスに乗って寝てると起こされた。「12B払え」と言う。何でもこのバスは1st level bus らしく、おれのチケットは2nd level busで不十分らしい。そもそも1stやら2ndなんて選んでないし。
「おれの責任じゃない、そっちが勝手に移動させたんだろ、バス会社に言え」って怒っても、こういう時だけ都合よく言葉通じず、めんどくさくなり12B払う。イライラ。
アディスアベバ抜けるのに渋滞でだいぶ時間かかった。出発したのはラッシュアワーの8:00ころ。何でもっと早く出ないんだろ。バカなの?
道中は山道。景色が目に優しい。バナナの木に囲まれた茅葺屋根がポツポツ車窓から見える。珈琲用に火でも炊いてるのか、屋根の隙間から煙が漏れてる。それが空気に溶けてって、そんな車窓風景。飽きないなあ。
昼飯のとき話した乗客のおばちゃんはケニア人だった。食堂のスパゲッティ、砂利入ってるし冷めてるし、不味。バス降りた瞬間にガキ共のマネーマネー攻撃くらったけど、服屋の姉ちゃん達イイ人で休憩中ずっと話してた。
昼食後の道のりでは景色が一変。木陰が気持ちよさそうな木々、アフリカを感じる。 |
1番座席の特権。窓がでかい。景色がいい。 |
大雨季のアディスから数時間ドライブしただけで天気が一気によくなった。気持ちい。 |
非アフリア人はおれ一人。車内の様子。カーステレオ壊れてて、ギター弾いて歌ったりしてた。 |
かわいらしい女の子。 |
「ディラ」という山の町に着いたのはちょうど夕時。今夜はここで一泊するらしい(話と違うじゃん!)。
明日の集合時間を聞くも、皆ドヤ顔で、
「11:00pmエチオピアンタイム!」
・・・何時だよそれw
(※エチオピアでは独自の時間=エチオピアンタイムなるものをヨーロピアンタイム=一般的な時間と併用していたりします)
結局さっきのケニア人のおばちゃんが助けてくれ、すぐ近くの同じ宿(見かけは民家)に。一泊50B。子供たちがカワイイ。
で、荷物置いて、おばちゃんと町を散策。アグネス(おばちゃんの名前)はモヤレ(国境の町)に何度も行ってるらしい。教会布教の仕事してて、アフリカ各地を回ってるそう。コンゴも行ったことあるとか!今回は娘さんの卒業祝いで帰国とのこと。
アグネスが買い物するのに着いてって(ケニア人もボラれるのね)、荷物持ちに任命された。恰幅のよい豪快なビッグママ・アグネス。アフリカ来たなーって再実感。
ディラのマーケット |
手前がビッグママ・アグネス!右奥のディスプレイ、なんかエロい! |
モスクがある風景が好き。 |
やさしいパステル色に空が染まってく。 |
完成予想図立派すぎで「絶対無理だろーww」ってアグネスと笑ってた。 |
夕日が綺麗で素直に感動。いつぶりだろ、夕日。スーダンではあれ程毎日晴れてたのに、エチオピアは毎日雨だったもんな。
宿に一旦戻り、ちょっとイイトコのレストランで肉食った。他の食堂は肉無かった。おれってば、育ち盛り。
米と肉と肉のスープ。がっつり肉!って感じ。ウマい。隣のテーブルのイスラム教徒のおっさんイイ人で、サモサみたいなやつくれた。美味。
夜は子供らとちょい戯れ。全木製のトレーニング機材があった。手作りの限界を超えてる!
一日目の移動はトータル約8時間。半分は寝てたし、そんなに辛くなかった。明日からに備えて早く寝ようっと。
DAY2に続く・・・!
【エチオピアバスの小ネタ】
シートが硬く足も伸ばせないエチオピアのオンボロバス、オススメは座席番号1番(ドライバーの隣の一人がけ席)です。
足も伸ばせるし景色もよく、足元が広いため荷物も全部持ち込めます。
僕は長距離移動の際は必ず1番狙いでした(偶然の最初の1回で味をしめた)。
前日の朝一でバス停のチケットオフィスで事前予約し、「Seat No.1 please!!!」と笑顔でゴリ押せば問題ナシです。何か言われたら「No Problem!!!(満面の笑みで)」と答えましょう。
よかったら参考に。
にほんブログ村
ブログ村の世界一周ランキング、やる気もそこまでないから当たり前なんだけど、久しぶりにチェックしたら順位が150位くらいまで下がってました笑
「しょうがねえなクソ」って思ってくださった方!ワンクリックお願いしますー!
初めまして。
返信削除小川さんのBLOGに掲載されていたリンクから来させて頂きました。
とてもおもしろくて興味深い内容のBLOGで時間も忘れて読んでしまいました(^^)
アフリカの旅は常に危険も伴い大変だと思いますが、これからも記事の更新の方とても楽しみにしています(^O^)/
突然の投稿失礼いたしました。