DOCTOR in EMBRYO: 世界３大ウザイ。

「○○人は△△だ」

僕個人はこの手の一般化はあまり好きではない。

国や地域によってある程度見てとれる共通の気質のようなものを感じることは多々あるけれど、それを一般化し絶対化するような態度には疑問を感じざるを得ない。

当たり前だけど、日本人が皆勤勉で手先が器用で謙虚なわけではないように、アメリカ人にだってシャイでフランクじゃない人だっている。（正直、「なんとか人」って国ごとに括っちゃうのにも違和感はあるけど。）

だから、あくまでこの雑な一般化は所詮言葉遊び程度のものなんだ、っていう理解は必要なんじゃないかな、なんて思いながら旅を続けている（つもり）。

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旅人の間では、誰が言い始めたのか、実しやかに「世界３大ウザイ」と呼ばれる国々がある。

具体的には「インド」、「モロッコ」、そして「エジプト」の３つ。どれも個性派揃いの”濃い”国だ。

高２の夏にインドを旅してからしばらくの期間は空いてしまってはいるが、奇しくも僕はこの3カ国を連続で旅してきたことになる。

そんな「世界３大ウザイ」の３カ国目、悪名高きエジプト。そんなエジプトの中でも「あそこに住んでいるエジプシャンはマジでウザイ」と数多の旅行者に言わしめる場所がある。

エジプト・カイロのギザ地区。

かの有名な四角錐が聳え立ち、世界各地の旅行者を呼び寄せるエジプトナンバー１の観光名所。

唯一現存する世界七不思議であるギザの大ピラミッドは、紀元前2540年頃にわずか20年で建造されたエジプト第四王朝ファラオ・クフ王の墳墓とされているが、未だ謎は多い。

完成当時の高さは146.6mで、14世紀以降のヨーロッパ教会建築がその高さを超えるまで世界で最も高い建築物であったというから驚きである。

そんな祖先の偉業を知ってか知らずか、ギザ周辺の物売りは悪質という話を度々耳にした。話を聞く限りでは「世界一リピーターが少ない遺跡」なのではないか、と疑いたくなるほどだ。

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カイロに着き一週間、ようやく重い腰を上げピラミッドを訪れることにした。炎天下でのしつこいエジプシャンとの口喧嘩は、実際かなり気が進まない。

「テンションアゲアゲでどんなトラブルも笑って楽しんでいこうぜウェ～イ！」と自分に言い聞かせながら地下鉄・バスを乗り継ぐこと約３０分、建物の向こうにピラミッドが先っぽを覗かせた。

30ポンドのチケットを購入し、入場。この間も内心ちょっと警戒中。

ピラミッド。でっけー。

定番の写真。

お洒落ラクダ。正面から見るとカワイイ。

ちょぴっと登ったら怒られた。けっこう一段がデカイ。

人の大きさと比較。ピラミッドの巨大さがわかる。

意外に斜辺がでこぼこしてた。

スフィンクスの目線の先にはKFCが！ピラミッド観光のハイライト（だと思ってる）！

２時間ほど写真を撮りながら歩き回ったが、驚くことにノートラブルだった。あれだけトラブルのパターンを聞かされてたのに何だか肩すかし。高額をぼられると噂のラクダと一緒の写真もタダで撮れたし。

たまたま時期が良かったのかもしれないし、運がよかったのかもしれない。けど事実、ウザさなど感じず、むしろ楽しみながら観光できた。

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悪名高きギザのエジプト人が（そこまで）ウザくなかったからといって、ウザいエジプシャンがいない訳ではまるでない。

カイロの宿周辺ではよくそういった輩に絡まれた。

通りですれ違いざまに馬鹿にしてくる奴、棒持って叩く仕草してくる奴、路上で思いっきり押してくる奴、ツバかけてくる奴、バスから手出して叩いてくる奴．．．

言葉が悪いが、ほんとに人間に慣れてないクズ野郎がめちゃくちゃいた。殴りあいの喧嘩して眼鏡ぶち壊されたのもカイロだった。

今までインドでもモロッコでも、客引きがしつこくてイライラすることはあっても、本気でぶち切れたくなるようなことはなかった。他のイイ思い出たちを無に帰すくらい嫌な思いをしたのはカイロが初めて。

『「アラブの春」以降若者が調子こいてる』みたいな話も聞いたけど、それだけじゃ説明できないほど何かがオカシイと感じざるを得ない程だ。

さほど実際の被害のない僕に比べて、エジプトを走ってるチャリダーさんの話を聞くとさらにヒドい。

後ろから自転車ひっぱられたり、セクハラされたり、時速100kmのトラックの運ちゃんに後ろから叩かれたり、バイクで後ろから押されたり、ずーっと付きまとわれたり、石投げられたり．．．

悪意が許容を超えてる。

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たったの３年だけど自分が育って、妹が生まれて、あやふやだけど思い出もあって．．．そんな故郷がこんななのはなんだか悲しい。

いい人はもちろんいっぱいいる。ほんとにいっぱいいる。だから余計に切ない。たった一部（であると信じたい）のせいで裏切られたような気持ちになってしまう。

「エジプト人ウザい！」なんて言いたくないけど、２週間カイロにいて、そういう風にしか思えなくなってしまってる自分がいるのも事実なわけで、そんな自分に嫌気がさす。

つまり何が言いたいかというと、アレです。